事例紹介

事例に学ぶ事業承継

わたしたちがこれまでにお手伝いをさせていただいた事例のご紹介をします。

偏った支援が承継後のリスクを大きくする


経営・税務・リスクマネジメントの横断的支援

業種 建設業 業務内容 電気通信工事業
創業 平成16年 従業員 6名
代表者年齢 52歳 地域 名古屋
資本金 5,000千円 売上高 200,387千円

偏った支援が承継後のリスクを大きくする


経営・税務・リスクマネジメントの横断的支援

業種 建設業
業務内容 電気通信工事業
創業 平成16年
従業員 6名
代表者年齢 52歳
地域 名古屋
資本金 5,000千円
売上高 200,387千円

1.事業継承に至った経緯

平成30年8月に創業者である前社長が監査役に退き、親族外の幹部従業員が代表取締役に就任しました。企業経営に関する承継はほぼ完了しているようですが、自社株式の70%を前社長夫婦が保有しており、当社の前社長に対する帳簿上貸付金等の債権が約18百万円ありますが、前社長にはその認識がありません。
その対策として顧問税理士から、①自社株式の移転(贈与)を無税で実施するために18名の株主(外注先や従業員持株会の組成まで含む)に分散すること、②前社長の役員退職金を支払う前に前社長の自社株式の保有割合を5%以下にしないとその役員退職金が税務署に否認されるため株式移転(①)を実施してから支払うこと、③役員退職金の金額は貸付金額と同額とすることにより清算すること、との提案を受けたことについて、金融機関担当者経由で当方へのご相談に至りました。

2.事業承継における現状

平成30年11月に当方との初回面談では、平成30年8月に代表者変更済み、役員退職金未払い、自社株式移転前(下表参照)の状態でした。
また決算を平成31年1月末に控えており、半年前に退職した前社長の退職金をそれまでに支払う必要があるため、至急対応を求められました。

3.事業承継に係る課題とその対応策

(1)自社株式移転の方向性
当社関係者以外の者が自社株式を保有することは基本的に避けるべきであると顧問税理士に伝えたところ、「一旦18名に分散贈与した後、次の期に現社長に贈与しなおす」とのことでした。その一連の流れを税務署が見た際、租税回避行為と見做されるリスクが高いこと、現社長に贈与しなおす際にその時の人間関係によっては贈与契約書に捺印しない株主(特に外注先や遠い親戚)がでてくるリスクや、贈与しなおす前に当該株主の死亡によってその親族にさらに分散するリスクなど、現社長に贈与しなおすまでの期間の長短により様々なリスクがあることを鑑み、まずはその提案については採用しないこととなりました。
もともと18名への分散贈与を提案する根本には自社株式の評価額が高くなるため、贈与税のかからない範囲での移転を短期間に完了する目的が想定されます。そこで株式移転前に役員退職金を支払う事で自社株式の評価額を下げる提案をしました。

(2)役員退職金の支払時期と金額
ここで顧問税理士の見解と食い違ったのは、役員退職金の支払い時期です。顧問税理士は「長年の経験から、前社長の役員退職金を支払う前に前社長の自社株式の保有割合を5%以下にしないとその役員退職金が税務署に否認される可能性が高い」という理由で、株式移転前に役員退職金を支払って自社株式の評価額を下げる対策を否定されていました。当方で専門家派遣した税理士も、担当コーディネーターの周りの税理士もそうではなく、「役員退職金を支払って自社株式の評価額を下げたうえで株式移転する、という対策は一般的である」、という見解でした。結局、双方の議論を見ていた前社長・現社長から当方の提案内容を採用する、という意思決定をされました。よって、支払時期は当期中(平成31年1月末まで)、株式移転は来期以降、という事になりました。
役員退職金の金額設定に関しては、19,800千円(月額報酬440千円×在任期間15年×功績倍率3倍)と顧問税理士から説明を受けました。功績倍率を3倍とすることにつき税務調査等により指摘される可能性はありますが、同業類似法人ではないが過去の裁判例において、3倍を超える功績倍率が採用される事例もあったため、前社長・現社長とも相談のうえこの金額で支払うこととなりました。

4.ブロックコーディネーターの所感

今回は顧問税理士との見解の相違が大きいため対応に苦慮いたしましたが、派遣専門家(税理士)の素晴らしい対応により相談者に喜んでいただける支援内容となりました。決定された方針・方策を実施され、名実ともに事業承継の完了となれば幸いです。

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